逆風吹き荒れる居酒屋業界で業績を伸ばす大阪の企業とは

 

外食産業の市場調査結果

日本フードサービス協会は2017年9月25日付で、外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年8月度の調査結果を公開した。
それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス3.5%を計上した。各社の積極的なキャンペーンの展開と、前年同月がオリンピック開催により外食産業全体が不調だったことからその反動もあり、客数・客単価共に上昇、売上も大きく伸びる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

全業態すべてを合わせた2017年8月度売り上げ状況は、前年同月比で103.5%となり、3.5%の増加を記録した。これは先月から継続する形で12か月連続の増加となる。

このように外食産業全体が売上増加といった上昇気流の中、足を引っ張っている業態がある。それがパブ/居酒屋部門である。その部門においても居酒屋は店舗数の減少があったのも影響してか、客数が減り、これが売り上げの足を引っ張る形となった。パブ・ビアホールは堅調だったものの、結果として部門全体ではマイナス0.8%を示す形となっている。

 

居酒屋業界のランキングと概況

売上高 (2017-03-31)
1位 コロワイド 2350億2700万(連結)
2位 ワタミ 1003億1200万(連結)
3位 大庄 656億0700万(連結)
4位 アトム 526億6300万(連結)
5位 チムニー 471億2852万(連結)
6位 SFPホールディングス 361億7962万(連結)
7位 ダイヤモンドダイニング 306億4123万(連結)
8位 ヴィア・ホールディングス 295億8600万(連結)
9位 鳥貴族 278億8689万(単独)
10位  ジー・テイスト 267億3973万(連結)
営業利益 (2017-03-31)
1位 コロワイド 41億1200万(連結)
2位 SFPホールディングス 34億1873万(連結)
3位 チムニー 31億4313万(連結)
4位 アトム 19億9000万(連結)
5位 ダイヤモンドダイニング 17億5552万(連結)
6位 鳥貴族  15億1322万(単独)
7位 ヨシックス 11億4627万(単独)
8位 ハブ 7億8938万(単独)
9位 ヴィア・ホールディングス   7億4700万(連結)
10位  ジー・テイスト   6億3128万(連結)
経常利益 (2017-03-31)
1位 SFPホールディングス 36億7704万(連結)
2位 チムニー 31億9540万(連結)
3位 アトム 20億4100万(連結)
4位 ダイヤモンドダイニング 15億4926万(連結)
5位 鳥貴族 14億7752万(単独)
純利益 (2017-03-31)
1位 SFPホールディングス 22億3338万(連結)
2位 チムニー 16億4972万(連結)
3位 鳥貴族 10億4830万(単独)
4位 ヨシックス 8億7079万(単独)
5位 ダイヤモンドダイニング   7億2579万(連結)
正規従業員 (2017-03-31)
1位 コロワイド 4922(連結)
2位 ワタミ 3029(連結)
3位 アトム 1336(連結)
4位 エー・ピーカンパニー 1188(連結)
5位 チムニー 1134(連結)
    ・
ランク外 鳥貴族 601(単独)

このランキングで業績の良さが目立つのが、磯丸水産や鳥良、鳥良商店を主軸とした「SFPホールディング」が挙げられる。
そしてもう一社、際立って業績の良い企業が目に付いただろうか。

「居酒屋不況」と呼ばれている現在。少子高齢化、人口減、若者のアルコール離れ、飲酒運転の厳罰化、ファミレスやファストフードで広がる「ちょい飲み」、貧困層の拡大――。マイナス材料には事欠かない。
国内の居酒屋はそもそも「店舗数が2~3割は過剰」だともいわれている。
プレーヤーの入れ替わりも激しく、近年は主要な居酒屋大手も本業における業績拡大には苦戦ぎみだ。ところが、それとは逆行するように着実な右肩上がりの成長を続けている居酒屋チェーン、それが大阪に本社を置く「鳥貴族」である。

この東大阪発祥の「鳥貴族」、全国とりわけ関東圏で近年どんどん新規出店をしている、今いちばん勢いがあるチェーン居酒屋と言えます。
次に、この鳥貴族が何故このように安定して業績を伸ばすことができているのか、異例の成長を続けられるワケはいったい何か。真相を探ってみたいと思う。




「鳥貴族」の画像検索結果鳥貴族とは

この5年間で売上高は約3倍、営業利益は10倍以上に伸ばしている鳥貴族。
展開するのはメニュー全品が280円均一の焼き鳥店「鳥貴族」。主要駅の繁華街で黄色と赤色の看板を目にしたことのある人も多いだろう。異例の成長を続けられるワケはいったい何か。それは低価格ながら「国産食材100%」など高品質で特徴のあるメニューを取りそろえ、業界他社の追随を許さないビジネスモデルを構築したことだ。鳥貴族は「ファミレス業界におけるサイゼリヤ」の立ち位置を居酒屋業界で実現しようとしている。

鳥貴族の生い立ちは、社長の大倉忠司(57)が1985年に個人創業、大阪府東大阪市近鉄俊徳道駅前に第1号店「俊徳店」を開店したのが始まりだった。1986年に法人を設立。東京に進出したのが、中野に関東1号店をオープンした2005年、ほんの10年程前のことである。2014年にジャスダック上場、東証2部を経て2016年に東証1部に指定替え、そして今に至るのである。ちなみにこの社長の大倉氏、実は関ジャニ∞の大倉忠義さんのお父様なのです。2016年の11月、鳥貴族は東京・自由が丘に「鳥貴族自由が丘北口店」をオープンした。「自由が丘北口店」は法人設立以来、30年目の大きな節目となった。首都圏、関西圏、東海圏で直営と「TCC鳥貴族カムレードチェーン」と呼ぶフランチャイズチェーン(FC)を合わせて500店に到達したからだ。
2017年9月現在、店舗数575店舗(直営346店舗、TCC229店舗)にまで伸ばしている。

「鳥貴族の業績推移」の画像検索結果

 

鳥貴族がワタミを超えた日

鳥貴族の600店舗到達間近とは対照的なのが、かつて居酒屋界で隆盛を誇ったワタミである。ワタミはここ2~3年で180店舗以上の居酒屋を閉店し、2016年9月期の店舗数は484まで減った。つまり、鳥貴族の500店達成、そして600店舗への階段は、鳥貴族があのワタミを上回ったことを意味しているのである。順調に業績を伸ばす鳥貴族に対し、ワタミも低価格業態から高級路線への転換など、様々な対策を施してきたのだが、女性従業員の過労死自殺事故によるブラック企業批判が大きなうねりになり、ワタミ離れが起こ「ワタミと鳥貴族」の画像検索結果った。業績は急激に悪化し、結果的に大量閉店や業態転換に追い込まれることになったのです。

ワタミの自滅はあったにせよ、鳥貴族が自力で異例の成長を果たしてきたことは疑いようのない事実だ。東京都内で平日のディナータイムに鳥貴族の店をのぞいてみるとわかるが、20~30代の若い男女でいつも満員の店が多い。若者のアルコール離れなどまったくうそのようなにぎわいだ。

居酒屋業界は売上高ランキングで1970~1980年代にかけて養老乃瀧、村さ来、つぼ八が3強だった。その後、主要プレーヤーは入れ替わり、1990年代半ば~2000年代にかけてはモンテローザ、ワタミ、コロワイドが御三家を形成。そして現在はモンテローザ、コロワイド、チムニーが新御三家ともいえる状況で、その後に大庄、鳥貴族、ワタミが続こうとしている。ただし上位6社の中で、本業が好調なのは5期連続増収増益見込みの鳥貴族だけなのです。

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鳥貴族の強さの秘密とは

1.お通し無しで280円均一という低価格ながら質の高いメニュー

「鳥貴族」の画像検索結果一般的な居酒屋のビール中生1杯の価格は400~500円。鳥貴族は看板メニューの樽詰め「金麦(大)700ml」「ザ・プレミアム・モルツ(中)380ml」「角ハイボール」などドリンクのほか、国産新鮮焼鳥「もも貴族焼&むね貴族焼=ネギ付き90グラム2本」をはじめ、味も満足感も高い焼き鳥などもすべて280円均一。なかには原価率が50%を超すようなキラーコンテンツもあるようだ。

「なにしろ客単価2000円台で本気飲み・本気食いができるのは驚異です。とても勝てないですよ。それゆえ当チェーンでは客単価2000円台の業態は捨てて、客単価2500円以上の新業態を開発し、生き残りを模索するより仕方ないと考えています」。ある居酒屋チェーンの関係者は語る。

2.大型ではなく小型での店舗展開

緻密な店舗戦略にも強さの秘密がある。鳥貴族社長の大倉氏は、大型のスーパーマーケット型ではなく、流通戦争で最終的に勝ち組になった小型のコンビニエンスストア型の店舗展開を志向している。鳥貴族の標準店舗は40坪70席と、大手の総合居酒屋と比較すれば小型だ。厨房システム重視でスケルトンからつくるので、平均投資額は4000万円。最近では50~70坪の中・大型店も展開するが、平均すれば鳥貴族の店舗は30~50坪。その分、出店が可能な物件の選択肢も多い。

関東圏の繁華街にある飲食ビルでは、比較的家賃の安い地下や空中階に好んで出店している。出店の特徴としては、繁華街に集中出店していることだ。また、首都圏のJR中野駅やJR高円寺駅などでは南口店と北口店をそれぞれ出したりもしている。複数店舗を出したほうが食材の配送やパート・アルバイトの採用など、効率が上がるからだろう。

3.コバンザメ商法

実はワタミとの居酒屋売上高ランキングを逆転させた背景には、大倉氏が執った店舗戦略がある。鳥貴族が東京に進出したのは2005年。大阪が地盤の大倉は、東京の地理にまったく不案内だったため、当時飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していたワタミに着目、居食屋「和民」の近くに店を出し、おこぼれをちょうだいする「コバンザメ商法」を展開することにした。これなら立地の選定やマーケティング調査などに時間や費用をかける必要がない。余分なおカネをかけないのは大阪商人の哲学である。

4.リーマンショックの不況すら追い風に

東京進出後の大きな追い風となったのが、実は2008年9月に起こったリーマンショック後の景気悪化だったのです。企業の交際費は削られ、小遣いが減ったビジネスパーソンは消費を控えるようになり、2009年度には居酒屋・ビアホール市場の規模は1兆0187億円でピーク時の30%まで縮小した。
ワタミなど客単価3000~3500円もする総合型居酒屋チェーンに行く回数は減り、かわって客単価の安い鳥貴族に切り替えるビジネスパーソンが増えた。リーマンショック後の不況が、鳥貴族の低価格・高品質の価値を気づかせ、開店すると行列ができるようになったのである。

5.従業員の負担を減らしながらも、人件費削減

以前のワタミとは間逆である。従業員を酷使するのではなく、手間を省くことで無理なく人員を削ることに工夫と努力をしている。どういうことなのか。鳥貴族のフードメニュー数は約65と、他のお店の約7割に絞り込まれています。このメニューのうち10個を半期に減らし、新たに10個を増やすことで常にメニューに新しさを保ちながら数を限定しているのです。それと言い方は悪いのですが、鳥貴族が扱うメニューはどれも、焼くだけ、切って盛るだけ、揚げるだけ、などシンプルなものばかりですよね。
また、鳥貴族は新卒採用のホームページに「日本一の、ホワイト企業をつくろう。」というフレーズを掲げており、一貫して従業員の負担を減らすことを重視している企業なのです。
もちろん効率重視が全てではないのですが、従業員満足が顧客満足に繋がることは間違いのない事実だと思うのです。

6.メニューはシンプルながらも、味と品質にはこだわる

「鳥貴族」の画像検索結果従業員の負担を減らす効率とは逆で、鳥貴族の美味しさ、人気の源はチェーン店的ではない非効率な部分にこそある。効率性よりも重視すべきものと、そうではないものを厳しく見極め、それを実践している鳥貴族。例えば鳥貴族のモットーに「各店舗での串打ち」がある。焼き鳥の材料となる鶏肉は串打ちをした瞬間から鮮度が落ちていくと言います。これを防ぐために鳥貴族ではセントラルキッチンを採用していません。またもう1つのモットーに「国産新鮮鶏肉の使用」があります。輸入鶏肉の方が圧倒的に低コスト=効率的にも関わらず、それをしていない。要は、シンプルな料理の中に、味と品質へのこだわりが多くの人に受け入れられている要因なのでしょう。

 

㈱鳥貴族代表取締役社長 大倉忠司とは

後悔しながら死にたい。20代の頃からずっとそう思ってきました (大倉忠司)

「大倉忠司」の画像検索結果大倉氏にとって「やりたいことをやり尽くして死ぬ」人生は理想ではありません。なぜならそのあとの人生がつまらなくなってしまうから。

死ぬ瞬間にも「くそう!まだやりたいことがあるのに!」と死ぬ方が楽しいじゃないか、というわけです。満足したくない。そんな想いが常にあるからこそ、大倉氏はアグレッシブに「鳥貴族」を経営してこれたのかもしれません。

「今では同じようなお店が増えて淘汰されてしまうのでは、という危機感はないのか?」

もちろん、類似店が出てきたら影響は受けます。でも、私たちほど、焼鳥1本だけに懸けている会社はないという自信がありますから。今、たまたま鳥貴族が流行っているからまねしようとしても、そこには魂はないでしょう。それに、まねされても諦めず、焼鳥でお客様に喜んでもらえることを追求していくだけです。

日本において類を見ない単一業態で2000店舗を目標に掲げる大倉氏。逆風の飲食業界の中で確かに途方もない壮大な目標ではあるが、大阪の商人魂で達成することを期待したい。

 

最後に残念なお知らせがあります。

鳥貴族、10月1日から全品一律298円(税別)に値上げされました…

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